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Global|嘘のような本当の話

Aug 25, 2019.久米川一郎Tokyo, JP
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「ドットエスティ」公式HP

人づてに聞いた話ではあるが、信頼できる人物なのでたぶん本当なのであろう。あるバイヤーがそのブランド展示会に現れると、商品を一瞥もせず、デザイナー兼社長のA氏にこう尋ねたと言う。「ねえ、フォロワーは何人ぐらいなの?」。その数字が4ケタ台なのを知るやいなや、サーッとその展示会場からそのバイヤーは消えてしまったという。

続いては、消えた店の話。米国商務省の発表による7月の米国小売業売上高速報。それ自体は前年同月比3.4%増とまずまずなのだが、今年に入ってから7月末までの閉鎖店舗数が7567店という気の遠くなるような数であること。もちろん新店オープンも相当な数で3064店だが、閉鎖の半分にも満たない数である。このうちアパレル専門店の閉鎖が最も多く2750店で全体の36%。2018年は14%だったから、これは完全にアパレル不況が米国でも蔓延しているということだろう。さすがアメリカ、日本とは不況のスケールが違う。

白髪三千丈というぐらい何事も大袈裟な中国ではあるが、ボチボチアパレル不況が一部で始まっているようだ。繊研新聞8月14日号によると、中国の大手アパレルメーカーの上海拉夏貝爾(上海ラ・シャペル)社は、急速な店舗拡大による費用増や効率の悪化に加え市場環境の変化で、2019年6月中間決算で発表した数字で20%の減収、純損益で1億5951万元(約24億円*)の赤字を計上。この半年間で2400店の閉鎖を行ったという。年商1600億円クラスの企業だが、これは1社の半年間の店舗閉鎖数では世界記録レベルではないか。

さらに繊研新聞8月19日号を読んで、ビックリした。アダストリアの自社ECサイト「ドットエスティ(dot st)」が利用できない状態が続いていることについて、同社がお詫びと今後の対応を発表しているという。8月5日にリニューアルしたが不具合が発生し、サイト再開は9月中になるという。同社の2019年2月期の国内EC売上高は405億円で自社ECはその約半分を占めるとあるから、20億円近い損害になるのではないか。システムのリニューアルを担当した企業にとっては存亡につながるような事態であろう。今どきこんなことあるのだ。

*1中国元=15.04円換算(8月22日時点)

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