①取締役会の構成
取締役会が同族や生え抜きばかりだと「仲良し身内クラブ」になりやすいよ。社外取締役比率が3割を超えているかは、有価証券報告書やコーポレートガバナンス報告書に明記されている。外部の目がどれだけ入っているかを必ず確認しよう。
②社外取締役の実力
社外取締役が企業を3社以上掛け持ちしていると、パフォーマンスは落ちやすい。名前を検索すれば兼任先や経歴が分かる。弁護士や会計士、異業種の経営経験者が含まれていれば、議論の質は高まりやすい。専門的な細かいところまでチェックしてくれるからだ。名ばかりの存在がいないかどうかを見極めたい。
③不祥事対応のスピード
トップの不祥事が出たときに、1カ月以内に辞任や調査委員会を設置できるか。サントリーは10日で決着をつけ、市場は冷静さを保った。オルツは対応が遅れて信頼を失い、株価は5円に沈んだ。スピードは株主を守る最後の砦だからね。
④内部監査の実態
IRサイトに内部監査室の存在が明記されているかをチェックしよう。さらに統合報告書やサステナビリティレポートに「内部統制」「リスク管理」の記述があるかどうか。具体的に仕組みや改善策まで書いてあれば、会社の本気度が伝わる。最近のフジテレビ事件でも、内部監査が機能せず問題化したよね。
⑤監査法人の独立性と実績
有価証券報告書には必ず監査法人の名称が記載されている。四大監査法人(EY新日本、あずさ、トーマツ、PwCあらた)なら一定の安心感はあるが、それだけでは不十分だ。非・四大ファームを使っている場合は「その法人がどんな上場企業を監査しているか」を確認しよう。社名を有価証券報告書で見て、他にどんな会社を担当しているかを検索するだけでも規模感や信頼度が分かる。オルツは中堅の監査法人が担当していたが、結果的に粉飾を見抜けず退場に至った。最低限このレベルのチェックはしておこう。
【応用編 さらに一歩踏み込むなら】
⑥コーポレートガバナンス・コードの対応姿勢
コーポレートガバナンス・コードとは、一流企業が行うべき企業統治のガイドラインをまとめたもの。適用されるのは東証上場会社のみで、各社は「遵守」または「説明」を選んで開示している。説明が具体的であれば「柔軟性」として評価されるが、抽象的なら「形だけ」と見なされる。
⑦指名・報酬・監査の三委員会の有無
取締役会の実効性を高めるには、「指名委員会」「報酬委員会」「監査委員会」の3つがあるかどうかも参考になる。存在の有無をチェックするだけでもいいよ。活動内容を具体的に開示していればさらに安心できる。
結局、ガバナンスを調べる道具はすべて公開資料にある。有価証券報告書、コーポレートガバナンス報告書、統合報告書、サステナビリティレポート、そして監査法人の実績情報。個人投資家でもすぐチェックできるね。
では、特にどんな企業を重点的に調べるべきか。3タイプ挙げてみる。
A.上場したばかりで仕組みが未整備な会社
B.急成長中で内部管理体制が追いついていない会社
C.同族経営色が濃く、取締役会が身内で固まりやすい会社
数字は魅力的でも、ガバナンスに穴があれば、一夜にして企業は退場だ。
投資判断を下すとき、業績数字と同じくらい大切なのがガバナンス。サントリーのように仕組みが機能する企業と、オルツのように崩れ落ちる企業。あなたはどちらを選ぶかな?
巳之助は「ガバナンス重視で安心な銘柄」と「数字は良いが統治は怪しい銘柄」で少し迷うけど。
NISA Bros.よ、どう考える?
■プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。