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SNSの投稿はここに注意「アパレルショップで購入していない服の試着姿を自撮り投稿するのはNGです」

May 30, 2022.近藤陽介Tokyo, JP
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法律のプロとしてさまざまな業界の問題を解決してきた弁護士の近藤陽介氏。活躍のフィールドは多方面にわたるが、自身もファッション好きなことからファッション&ビューティ分野での法律相談も数多く受けている。日本化粧品検定1級の資格を持ち、ビューティの専門家の顔も持つ。そんな近藤陽介・弁護士の新連載が今回からスタートする。第1回目は、わかっているようでわかっていないSNS投稿での注意点についてだ。あたりまえのこととしてポストしているその投稿も、もしかしたら違法かもしれない!そんなSNSの注意点について、法律家の視点から近藤弁護士がわかりやすく解説する。SNSの国内利用者は8000万人を超えていると言われており、年代を問わず、トラブルを起こさない・巻き込まれないためにもしっかりとしたリテラシーを身につけることが重要だ。

–––SNSでよくあるトラブルはなんですか。
近藤陽介(以下、近藤):誹謗中傷や著作権侵害が多いですね。

–––そうした行為に対して法的懲罰はありますか。
近藤:誹謗中傷の場合、名誉毀損になります。SNS上に書いた内容が事実であったとしても、その人の社会的評価を低下させる内容であれば名誉毀損に該当します。投稿内容が事実かどうかは関係ありません。人の悪口など絶対に投稿してはいけません。また、著作権侵害については、画像などの他人の著作物を転載すると、著作権法に違反することがあります。他人の著作物を使用する場合は、その著作権者(撮影者)の許可を得ることが必要です。

–––インスタグラムやティックトックなどに画像を投稿する際の注意点はありますか。
近藤: SNSで画像を投稿する際には、「自分で撮影した画像を投稿する」「他人の画像を投稿する際には、予め撮影者の了承を得る」「著作権フリーの画像サイトの画像を用いる」というこの3つのいずれかの方法をとる必要があります。

–––なるほど。著作物の無断利用は原則として違法になるわけですね。では、投稿状況を想定して質問をしていきます。「アパレルショップで購入していない服を試着して、その試着姿を写真に撮って投稿する」、これは問題ありますか。
近藤:よくないですね。購入する気もない場合は大いに問題ですし、そうでなくとも無断で商品を写真に撮ってSNS上に上げることはマナー違反です。ただ、ショップ側からすると商品の宣伝になるため、こういった行為を黙認している場合が多いですね。ファッションブランドの「コス」なんかでは、試着室の鏡にすでにハッシュタグが貼り付けられてあって、試着姿を自由に投稿できますが、こうした場合は全く問題ないですね。

–––「書籍のページを撮って『この文章良い~!』と投稿する」、この行為は法的にはいかがですか。
近藤:書籍は著作物ですので、文章をそのまま撮って投稿する行為は著作権侵害にあたります。書籍のタイトル自体は著作物に該当しないため記載しても問題ないことが多いですが、表紙に使われている写真、絵、デザインなどが創作的に表現されていれば著作物になりますので、やはり問題がありますね。

–––「LINEなど個人間のメッセージのやり取りをスクショして相手の同意なしで投稿する」、こちらはいかがですか。
近藤:これも法律的にはNG行為です。他人にみだりに知られたくない私生活上の情報を公開することは、プライバシー権の侵害に当たる場合がありますし、特に個人情報を含む内容はNGです。

–––「駅の構内や道路で泥酔している人や喧嘩を勝手に撮影して投稿する」、この行為はどうでしょう。ツイッターなどでよく動画が拡散されていますよね。
近藤:投稿した動画で個人がどれくらい特定されるかどうかで問題の大きさは異なりますが、人には自分の顔や姿態をみだりに撮影、公表されない肖像権がありますので、無断で撮影することはNG行為です。もちろん、その動画をSNSにアップロードする行為もNGです。民事上の問題として、削除請求や損害賠償請求がされることもあります。

–––新しく注目されている法律や権利は何かありますか。
近藤:「忘れられる権利」ですかね。年月が経過したら、ネットの検索結果に犯罪歴など特定の情報を表示させないないようにする権利です。ただ、表現の自由や知る権利などの守られるべき既存の権利もありますので、その調整をどうするかが今後議論されると思います。

–––「忘れられる権利」ですか、初めて聞きました!時代が変化するにつれてさまざまな権利が主張されていくんですね。

近藤陽介
2009年弁護士登録、2019年原宿に漣法律事務所を開設。同年9月からプレミアアンチエイジング株式会社の社外監査役を現任。日本化粧品検定1級、コスメコンシェルジュインストラクター、個人情報保護士の資格を持つ。取扱分野は、法人では美容、ファッション、IT関係。個人では交通事故、男女問題。

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