海外戦略も同様だ。
・欧州はランニングとスポーツスタイル
・アメリカは、ゴルフと新興競技ピックルボール
・アジアはフットボールやバレー台
・台湾はワークビジネス
・中国はライセンス方式で卓球やアーチェリー
国や地域ごとに「勝てる競技」を前面に出す。ナイキやアディダスのように世界統一商品で突っ走るのではなく、需要に合わせて自在に色を変える。ミズノは世界でもやっぱり「ワールドカメレオン企業」なんだな。
▷環境適応の強さと弱点
カメレオン戦略の強みは環境適応力。不況や流行の変化に左右されにくい。ただし代償も大きい。2026年3月期第1四半期の売上高は635億円(前年同期比+4.5%)で過去最高を更新したが、営業利益は62.8億円(▲3.3%)、純利益48.8億円(▲5.0%)と減益。営業利益率は9.9%に沈んだ。アシックスが13.5%だから差は歴然だ。国ごと店舗ごとに品揃えを変えれば物流費は膨らみ、人件費や教育費も増える。スタッフも日替わり教育になったら面倒だ。そりゃコストが重くなるに決まっている。
▷ディフェンシブ性の裏側
一方で、この重さは守りにもなる。一つの競技や地域が不調でも他で補えるからだ。中国ライセンスは2021年62億円から2024年191億円へ3年で3倍に膨張。しかも在庫も人員も抱えない高利益モデル。台湾のワークビジネスも二桁成長し、アジアのフットボールも好調。自己資本比率72.7%と財務は鉄壁。重いが倒れにくい。まさに「しぶといカメレオン」だ。
▷三社三様の戦略比較
国内スポーツ3強を比べれば性格ははっきりする。「アシックス」はランニング一本の「マラソンランナー」、攻めの効率型。「ミズノ」は複数競技をこなす「トライアスリート」、守りの分散型。そして「ゴールドウイン」は「THE NORTH FACEを背負うアルピニスト」。攻めも守りもなく、ブランド頼みで黙々と登る。言い換えれば「ブランドに背負われている登山家」だ。3強の立ち位置は、株価や利益率にもそのまま映っているんだ。
▷株価は押し目のチャンスかも?
前回の決算発表翌日には2,533円まで急落したが、チャート的にはこの2,500円台前半が直近の下値ライン。ここを大きく割れない限りは、需給的にも「下では拾われやすい」水準だ。PBR1.2倍、配当利回り約2%で安全圏。AI理論株価を見たら、4,118円と現値から60%の上値余地がある。販管費増で嫌気されただけで、業績が失速したわけではないんだよ。急に需給が冷えた場面では押し目買い妙味が増す。むしろ今こそ拾うチャンスだよ。
カメレオンは環境適応で生き残ると見た。NISA Bros.よ、どう考える?
▶巳之助メーター 3ニョロ カメレオン好きだったら、今こそだ。
(1ニョロ=素通り 2ニョロ=監視 3ニョロ=今だ!)
株価が下がっている今だからこそ「守りの分散型ミズノ」の存在感が光る。
■プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。