FLASH NEWS
  • share with weibo
  • share with LINE
  • share with mail

ミラノ・コルティナ冬季五輪の金メダルが証明したヨネックスの素材力【いづも巳之助の一株コラム】

NEWFeb 22, 2026.いづも巳之助Tokyo, JP
  • share with weibo
  • share with LINE
  • share with mail
金メダリストの戸塚優斗選手(ヨネックスの公式インスタグラムより)

ミラノ・コルティナ冬季五輪のハーフパイプを、息をのむ思いで見ていた。大技が決まるたびに、ボードの底がカメラに抜かれる。その瞬間、白いロゴがくっきりと浮かび上がった。金メダリスト戸塚優斗のボードにあったブランドロゴは「YONEX」。

え、ヨネックスってバドミントンだけじゃないのか?その瞬間、巳之助の頭は感動から株へと切り替わった。アシックスやミズノの陰で目立たない存在という印象があったが、雪山であれだけ堂々とロゴが躍る企業が、単なるラケット専業のはずがない。さて、数字で確かめよう。2026年3月期の第3四半期で売上高1204億円。通期では1600億円規模へ向かう増収ペースだ。通期予想は営業利益162億円。営業利益率は10%台に乗せ、収益力は一段高まっている。

参考までに比較してみよう。アシックスは売上高約8000億円規模、営業利益率は10%台前半。規模は圧倒的に大きい。ミズノは売上高約2600億円規模、営業利益率は5%前後。ヨネックスは規模では劣る。だが利益率ではミズノを上回り、収益性は中堅メーカーとして十分健闘している。スポーツメーカーとしては堅実な水準である。

中核はラケットスポーツ。バドミントンとテニスが売上の柱だ。特にアジアでのバドミントンはブランド力が強く、価格競争に陥りにくい。ラケットは消耗品ではないが、高単価モデルは2万円台から3万円台。ガット交換や買い替え需要もある。売上総利益率は40%台。価格ではなく付加価値で売る構造だ。

自己資本比率は約70%。借金に依存しない財務体質。ラケット事業は巨大ではないが、安定して利益を積み上げる金庫である。そして重要なのは素材だ。カーボン繊維強化プラスチックを自社工場で成形し、振動制御や反発設計を内製化している。この蓄積がボードへ応用されている。

ラケットスポーツが約6割。安定的な主力。ゴルフは約1割強、100億円台前半。クラブは単価が高いが市況に左右されやすい。ただしカーボンシャフト技術という共通基盤がある。スノーボードは数%規模。収益柱ではない。しかし象徴性は大きい。戸塚優斗の金メダルは世界中の若年層にブランドを刻んだ。広告費以上の効果だ。

海外売上比率は約60%。中国、台湾、アメリカ、ドイツほか海外拠点を持ち、国内人口減少だけに縛られない構造をすでに持っている。ヨネックスのメイン事業は、売上構成で見ればラケット中心のスポーツメーカー。だが、利益構造で見ればカーボン成形技術を核とする高付加価値メーカーだ。

ヨネックスは現状、産業用途へ本格参入しているわけではない。自動車や航空機向けに素材を外販しているわけではない。だが、軽量高剛性のカーボン積層設計、振動制御構造、反発エネルギー制御。この設計思想はスポーツの外でも通用する技術だ。

今はラケットの会社として評価されている。だが内部にあるのは設計力だ。もちろん、このままスポーツ専業で安定優良企業として生きる道もある。だが素材技術企業へ進化する道も、構造上は残されている。オリンピックの空に映ったロゴは、単なる宣伝ではない。ラケットで磨いた技術が雪山で通用した証明だ。

プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。

READ MORE