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危険水域に入ったクックパッド、ぐるなび、出前館

Feb 9, 2022.三浦彰Tokyo, JP
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飲食関連企業の決算書をのぞいたりすることは滅多にないのだが、2月第1週の決算発表ラッシュの中で、クックパッド、ぐるなび、出前館の3社の決算が目にとまった。

まず料理レシピのコミュニティウェブサイトのクックパッド(東証1部)の12月期決算が2月4日に発表になった。売上収益100億400万円(前年比-9.8%)、営業利益-26億3200万円(前年2億2700万円)、当期利益-29億6800万円(前年2億1100万円)。いやはや、大赤字である。自社の存在意義が語られた長ったらしい決算短信によれば「世界中の全ての家において、毎日の料理が楽しみになった時、当会社は解散する」のだそうだ。つまり「毎日の料理を楽しみにする」というミッションのもとに企業活動しているのだそうだ。しかし、広告収入も減り、通信キャリアが始めた低価格サービスにより混乱が生じ17万人のプレミアム会員が自動退会する事態(現在183万人)があったという。コロナ禍でさぞや儲かっているのだろうと思ったら、とんでもない。かなりの危機である。どうも会社がうまく回っていないようである。2016年に創業者である佐野陽光氏と2012年から社長に就任して業績を急激にアップさせた穐田誉輝社長(あきたよしてる/タレント菊川玲の夫)との経営権をめぐる争いが表面化したり、「暮らしの手帖」からクックパッドに移籍した松浦弥太郎が2015年に創刊した「くらしのきほん」を持って2017年(株)おいしい健康へ移籍するなどの「事件」があったり、どうもその後遺症がコロナ禍で表面化しているのではないかと勘繰りたくもなる。とにかくガタついているのだ。いずれにしてもこの赤字レベルは明らかに危険水域である。

飲食店インターネット検索サービスのぐるなび(東証1部)の第3四半期決算(2021年4月1日〜2021年12月31日)も同じ2月4日発表になっている。

売上高:95億6300万円(前年比-20.6%)
営業利益:-34億8300万円(前年-62億3500万円)

同社も危険水域に入っている印象である。この手の検索サイトでは圧倒的ナンバーワンを誇る「食べログ」を擁するカカクコム(東証1部)の第3四半期決算は2月3日に発表になっている。

売上高:379億3500万円(前年比+0.4%)
営業利益:137億8200万円(前年比+2.3%)

まさに天と地との違いがある。それにしてもカカクコムの営業利益率は実に36%。ちょっと儲け過ぎではないだろうか。このカカクコム社では、前述したクックパッドにおいて経営権争いを演じた穐田誉輝氏が社長を2001年から2006年まで務め社業を急拡大させている。この穐田氏、スキャンダルも多いが凄い経営手腕を持っているようだ。

もうひとつ、出前サービスの出前館(東証ジャスダック)の1月14日に発表になった第1四半期(9月1日〜2021年11月30日)の決算は:

売上高:103億4200万円(前年比+147.1%)
営業利益:−89億7200万円(前年-32億2900万円)

いやはや、凄まじい決算である。売り上げが2.4倍になっても利益は出ない。恐らく売り上げの倍々ゲームがこれから2期続いても利益は程遠いのだろう。TVCFを中心にして知名度のアップを図っている段階なのだが、毎年100億円近い赤字になるわけで、これにいつまで耐えられるのかということになる。今年1月末に日本撤退したドイツのデリバリーサービスのフードパンダなどもあり、このサービスが日本で根付くのかどうか。出前館はUber Eatsとの一騎討ち状態になっているようだがどうなっていくのだろうか。

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