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アシックス株がストップ高!一体何があったのか?

Jun 18, 2021.三浦彰Tokyo, JP
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銀座三越で開催された「アシックス」の期間限定ポップアップショップ

アシックスの株価が5月13日の第1四半期決算発表以降、急騰している。5月13日の終値は1778円でその日の出来高は63万3100株だったが、翌日の終値は一気に400円高のストップ高(これ以上値上がりが不可能な上限)で2178円。出来高は前日の5倍以上の359万8000株まで膨れ上がった。前日の第1四半期の業績が「衝撃的」だったためだ。

その第一四半期(2021年1月1日〜3月31日)の業績を見てみると:
売上高1065億4900万円(前年同期比+24.8%)
営業利益146億400万円(前年同期は8億8200万円の赤字)
経常利益147億3200万円(同31億4500万円の赤字)
親会社に帰属する四半期純利益104億8500万円(同2億4300万円の赤字)

すでに利益に関しては、今期の期初予想をこの第1四半期で達成しているのだから凄まじい。まさに「衝撃的」な業績で同じ会社なのかと思えるほどの前年からの大変化である。好業績なのは分かってはいたが、これほどとは投資家も思ってはいなかったはずである。その後もアシックス株は高値を維持したままで6月17日の終値は2611円(出来高64万500株)である。

なぜアシックスはコロナ禍でこんな驚異的な業績が達成できたのか?

アイテム別では売り上げの約半分を占めるパフォーマンスランニング(アスリートからアマチュアランナー向けまで開発されたさまざまなランニングシューズ)部門が前年比43.5%増えたことが大きかった。コロナ禍だからこそ、ランニングに対する関心が高まっていると考えてよさそうだ。ソロ・キャンプやゴルフなどのアウトドア・ライフスタイルへの注目はたいへんな高まりを見せているのだ。そしてEC売り上げが、北米で+106%、ヨーロッパで+125%、連結ベースで+86%だったことも注目しなければならないだろう。総売上高の約10%を占める「オニツカタイガー(Onitsuka Tiger)」も認知度を上げて約30%の増収。ミラノ・ファッションウィークにブランドとして初めて参加し、ストリート・ファッション・ブランドとしての訴求を行い、1月27日には北京・王府井において「ジ・オニツカ(The Onitsuka)」のショップ、3月5日にはアメリカ西海岸初になる旗艦店をそれぞれオープンしている。地域別ではほぼ倍増した中華圏が注目された。ここ数年、着々と進めて来た戦略が一気にかつ大きく花開いたと言えるだろう。

日本において、アシックスは旧勢力の大手スポーツ用品メーカーの「ミズノ(MIZUNO)」、「デサント(DESCENT)」を抜いて断然のトップカンパニーに躍り出ている。しかし、長いスパンで見れば例えば2001年にはゴルフ分野から撤退するほど、スポーツシューズに経営資源を集中した経営判断(現在の売上高構成比約80%)が見事だった。早く走れるシューズを徹底的に研究・開発する求道的姿勢が企業のすみずみまで浸透している印象が伝わってくるのだ。「アシックス」が世界でも通用するグローバルブランドになった証明とも言えるのが今回の驚異的第1四半期決算なのである。

しかし世界を見れば「ナイキ(NIKE)」(2020年5月売上高374億300万ドル=4兆1143億円、1ドル110円換算)、「アディダス(ADIDAS)」(2020年12月期売上高198億4400万ユーロ=2兆6392億円、1ユーロ=133円換算)の2強は別格にしても、第3位「プーマ(PUMA)」(2019年12月期決算年商約55億200万ユーロ=7317億6600億円)までがスポーツブランドの3強ということができるだろう。

第4位以下は混戦になっているが、第4位「スッケチャーズ(SKECHERS)」46億ドル=5060億円、第5位「ニューバランス(NEW BALANCE)」45億ドル=4950億円、第6位「アンダーアーマー(UNDER ARMOUR)」年商44億1466万ドル=4922億円1200万円(1ドル110円換算)と続いている。

そして第7位がアシックス(年商前期3287億8400万円、今期予想3700億円〜3850億円:第1四半期決算発表時に上方修正)。第6位の「アンダーアーマー」がこのところ減収決算を続けているので、今期は無理にしても早晩第6位には浮上してきそうである。しかし、売り上げよりもブランド=企業としての強度(インテンシティ)がポイントになるだろう。スポーツマーケットでグローバルに通用する初の日本ブランドとして、今後のアシックスの躍進に期待したい。

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