BUSINESS NEWS
  • share with weibo
  • share with LINE
  • share with mail

中国バブルの象徴「中国恒大集団」が香港市場から退場 巨額49兆円の負債を抱えたまま上場廃止

NEWAug 23, 2025.セブツー編集部Tokyo, JP
VIEW26
  • share with weibo
  • share with LINE
  • share with mail

経営危機に揺れる中国不動産最大手、中国恒大集団(Evergrande Group)が、8月25日付で香港取引所から上場廃止となる。中国恒大集団が香港に保有する資産は全体の数%にとどまり、9割以上は中国本土に集中している。そのため、香港市場での上場廃止が直ちに経営や資産処理に大きな影響を与える可能性は低いとみられる。

だが、巨額の負債を抱えたまま清算手続きが進まない現状は、中国経済全体に不透明感を漂わせているだけではなく、世界経済に対する負の影響を改めて浮き彫りにしている。

中国恒大集団は1996年、実業家・許家印(シュー・ジャイン)によって創業された。当時の中国は都市化と住宅需要の急拡大期にあり、同社は積極的に事業を拡大。2009年には香港証券取引所に上場し、全国280以上の都市で800を超えるプロジェクトを展開するまでに成長した。

最盛期の2017年には時価総額が日本円で7兆円を超え、世界的にも存在感を示した。しかし、拡大路線の裏側では過剰な借り入れが続き、負債は膨張。中国政府が2020年以降に不動産企業の過剰債務規制を強化すると、資金繰りが急速に悪化し、経営危機が表面化した。

現在、中国恒大集団が抱える負債総額は日本円換算で約49兆円に達し、関連する訴訟案件は2000件を超える。規模は中国国内のみならず、世界の金融市場にも影響を与えるレベルだ。とくに不動産関連の債券や投資商品を通じ、海外の投資家や金融機関も被害を受けている。

中国恒大集団の破綻劇は単なる一企業の経営破綻にとどまらず、中国経済の構造的リスクを象徴する事例とされる。不動産は中国GDPの約3割を占めるとされ、住宅販売の低迷は地方財政や雇用にも直結する。中国恒大集団のような大手企業が資金難に陥ることで、地方政府の財源不足や銀行の不良債権問題がさらに拡大しかねない。日本においても、かねてから「中国リスク」「チャイナリスク」として警戒しており、今後も不安要因となりそうだ。

「中国恒大問題」は依然として出口が見えない。負債49兆円という数字が示すように、事態の深刻さは過去の金融危機にも匹敵し得る。香港市場での上場廃止は「終わり」ではなく、中国不動産バブル崩壊の長いプロセスの一幕にすぎないのかもしれない。

READ MORE