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ガバナンス不全で下げた超優良株KDDI 2461億円不正が示す構造の問題【いづも巳之助の一株コラム】

NEWApr 4, 2026.いづも巳之助Tokyo, JP
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KDDI、超優良株の見本だ。今回、子会社の架空取引で、信じられない規模の下方修正が出た。

ここで多くの個人株主が、心の中でこうつぶやく。「下がりきったら、買いじゃないか。だってKDDIだ」。気持ちはよく分かる。だが、巳之助はKDDIホルダーだからこそ言う。まだ「安全のサイン」は出ていない。それはこの会社の「企業文化」が伝わっていないからだ。少しだけ、冷静に見ていこう。

2026年3月期第3四半期は、売上4兆4717億円、営業利益8566億円。一見すると増収増益の優等生決算だ。だが、その裏側は別物だ。架空取引による売上水増し。累計2461億円、外部流出329億円。広告事業の売上の99.7%が架空。これは一部の不正ではない。事業そのものが成立していなかったレベルだ。しかも2018年から2025年まで、誰も止められなかった。

なぜ止まらなかったのか。会社の説明は、属人化、知見不足、楽観。担当はほぼ2人。新規事業で上も理解していない。結果、業界の慣行という言葉で押し切られた。不正の始まりは数千万円の未達と数十万円の赤字。そこから2461億円まで膨らんだ。小さな歪みは、放置すると構造になる。

決算は良い。だがこの事件は重い。数字は強いが、統治は機能していなかった。今回の不正は典型例だ。循環取引は売上と費用を同時に作れる。資金が回る限り数字は膨らむ。だが中間マージンでキャッシュは減る。売上は伸びるが、実態は伴わない。この見せかけの成長が長期不正を支える。

今回の問題は、単なる不正ではなく、経営の「監督力」が問われた案件だ。特に新規事業は、数字が伸びるほどリスクも膨らむ。そこに対して「理解して管理する」のか、「任せて拡大する」のか。この判断の差が、今回の結果を生んだ。

巳之助も数年間、新規事業の部長を任されていた時期がある。売上が未達の瞬間に、「ウマい方法」が頭をよぎる時は正直あった。だからこそ管理が必要だ。これは現場だけの問題ではない。経営の問題でもある。

なぜ監査で見抜けなかったのか(見えないビジネス)、なぜ上司は気づかなかったのか(把握してない上司)。なぜここまで長く続いたのか(止められない構造)、この3つの違和感が重なったとき、不正は事件ではなく仕組みになる。

今回の問題は数字以上に納得感が問われている。2461億円という規模に対して説明は十分か。本当に2人だけで成立するのか。この違和感が残る限り株価は落ち着かない。

問われているのは再発防止ではない。どこまで個人に踏み込めるかだ。権限分離は徹底されるか、監督レベルは上がるか、異常値を検知できるか。そして、現場にNOと言える文化があるか

ここはIRに出ない。だが株価には効く。これはKDDIだけではない。最近のニデックの一件も同じだ。違和感を止められるか。ここが最後の防波堤だ。

KDDI株を買うシグナルは何処にある。制度ではなく文化で判断する。再発防止が現場まで落ちているか、検証が回り始めているか、現場で止める判断が出るか。さらに、株価が不安を織り込んだか、変化が確認できたか。変化を見てから入る。

現在株価は2600円中盤。割安に見えるが評価は揺れている。2,600円は織り込み済み。2,400円台でようやく検討ライン。安さと安心は別物だ。この株は「理解して持つ株」だ。落ちたら拾う、上がったら追わない。

プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。

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