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最終赤字406億円の資生堂の回復はV字か、L字か?強すぎる「成功ストーリー」が招いた構造問題【いづも巳之助の一株コラム】

NEWFeb 17, 2026.いづも巳之助Tokyo, JP
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撮影:SEVENTIE TWO

資生堂の2025年12月期は406億円の最終赤字。この数字だけを見れば、「失敗」と言いたくなる。だが巳之助は、そうは見ない。赤字は経営の失敗ではない。修正が遅れたガバナンスの失敗だ。この「天国から地獄」は、今後も日本企業で起こりがちな話だと断言する。

2019年12月期は、売上高約1兆1315億円、営業利益率10%台。中国売上比率は約3割。トラベルリテールは高収益の柱だった。株価は8,000円台。日用品を切り離し、高価格帯へ集中。選択と集中は間違いなく成功で、「天国」を作った戦略だった。だが成功は、同時に構造を固定する。売上シェアは約3割。だが営業利益の伸びの大半を中国と免税が担っていた。これは最初から、この依存を「選んだ」のではない。成功が一方向に積み上がり、構造が傾いてしまったのだ。

コロナで免税需要がなくなり、構造は逆回転する。2024年12月期は最終赤字108億円。2025年12月期は406億円最終赤字。買収した米国ブランドの不振による巨額の減損も続いた。この問題の本質は、損失額ではない。実は、環境変化に対する修正の遅れだ。

10年体制は長いか。いや、問題は年数ではない。この経営陣が作ってきた営業利益率10%台、中国拡大、株価8,000円台。成功ストーリーが強すぎた。だから止められなかった。この遅れこそが、406億円より重い、経営陣を止められなかったガバナンスの問題だった。

2026年12月期のコア営業利益690億円、利益率7%計画。達成ならEPS200円、PER20倍で4,000円。未達ならEPS150円、PER18倍で2,700円。現在株価は3,000円前後。PBRは1倍を割らない。市場は完全には見放していない。再建が見えた瞬間、評価は一気に切り上がる可能性もある。

巳之助の購買レンジは2,700円から3,100円。3,500円超は結果確認後。今は成長株ではない。修正力を試される企業だ。市場が見ているのは赤字額ではない。「第二の成功ストーリー」を描けるかどうかだ。黒字なら英雄、赤字なら失敗。だが企業経営は連続線でできている。2019年までの最高益も同じ体制。今の赤字も同じ延長線。メディアや投資家の見方は、未だに変わらない。日本の報道は人物を英雄か悪役に仕立て、投資家はそこを論じる。この話は資生堂だけの話ではない。成功体験が強すぎる企業ほど、修正は遅れる。だからこそ、投資家は利益率より「止められる仕組み」を見るべきだ。

プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。

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