
この株、正直よく分からない。80兆円のAI投資。スケールが大きすぎて、実感が湧かない。だが先日、日米首脳会議の晩餐会でトランプ大統領と高市首相のテーブルに、孫さんが当たり前のように座っていた。あの光景を見て、少しだけ考えが変わった。この人は「企業経営者」ではなく、大きな流れの中心にいる。
今回の投資は、ITの話ではない。オハイオ州にAIデータセンター。それを支える10ギガワットのガス火力発電。1000万世帯分の電力だ。つまりAIは「電力インフラ産業」になった。半導体でもソフトでもない。まず電力を押さえた側が主導権を握る。ここで、勝ち方の形が決まる。この流れは日本でも同じだ。マイクロソフトは日本に1.6兆円を投じ、ソフトバンクと組んでAI基盤を整備する。つまりこの競争は、一社ではなく国家単位で進んでいる。もう企業の勝負ではない。
そこに日立、三菱電機、パナソニック、TDK。さらに三菱UFJ、三井住友、みずほ。企業の投資ではない。国家と企業、そして金融が一体になった設計だ。孫さんは、その中心に座っている。でも、なぜ株価が上がらないのか?ここが一番重要だ。株価は高値6,923円から半値圏。3,000円台中盤で止まっている。理由はシンプル。遠すぎる未来だ。
投資は5兆円単位。全体は80兆円。この規模になると、利益ではなく時間の話になる。しかも今は金利が上昇している。未来の利益は割り引かれる。さらに、この会社の利益の多くは評価益だ。資産が上がって生まれた利益であり、まだ現金ではない。未来の利益と、今の負債。このズレが株価を押さえている。
さらに現実の話を一つ。ソフトバンクグループはOpenAIに対して300億ドルの追加出資を進めている。そのうち最初の100億ドルは、借入で実行された。この会社は未来に対して、借入で張っている。夢は大きいが、その裏側で資金の負担も確実に積み上がっている。
それでも崩れない理由。ここがこの株の面白いところだ。PERは16倍。すでに夢だけで評価される段階は抜けている。売られる理由はある。だが、売り切ってしまう理由もない。つまり今は、夢と現実のちょうど中間にいる。
成功すればどうなるか。AI需要が爆発する。電力とデータセンターを握る。その時、評価益は現実の利益になる。株価は一段上の世界に入る。一方で失敗すれば、投資が過剰となる。稼働率が上がらない。電力コストと金利だけが残る。その時、この会社は巨大な先行投資の塊になる。
評価はだいぶ現実に近づいた。だが不確実性はまだ大きい。巳之助の購買レンジは3,200〜3,400円。夢を買うなら、一段下で拾う。構想は本物。だが時間もかかる。タイミングを間違えると、長く動かない。あなたは、この「分からない未来」にお金を託せるか?
プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。








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