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DeNAとアクティビストの攻防戦の第1ラウンドは、DeNAのサプライズで幕開け【いづも巳之助の一株コラム】

NEWNov 11, 2025.いづも巳之助Tokyo, JP
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アクティビストが仕掛け、DeNAが応える攻防戦。旧村上ファンド系のシティインデックスグループと野村絢氏(村上世彰氏の長女)が、DeNA株を6.31%まで買い増したのが10月末。そして11月10日、DeNAは決算で「予想外の三段サプライズ」を放った。

■第1ラウンド:DeNAの攻撃
今回のサプライズは3つある。

①業績の急回復
2025年4〜9月期の純利益230億円(前年同期比+7.7倍)、営業利益249億円(+4.5倍)と、市場予想196億円を大きく上回った。主役はスマホゲーム「ポケポケ」。ゲーム事業の利益は7.2倍の170億円へ。スポーツ事業も+20%の増益。「横浜スタジアムからスマホまで」を貫く収益ラインが大復活した。

②AI経営の本格化
南場智子会長は決算説明で明言した。「DeNAはAIにオールインします。10人でユニコーンを生み出す会社に変わります」。これは単なるAI投資の話ではない。全社員がAIを使いこなし、10人で100人分の価値を出す仕組みをつくるという「経営の再構築」だ。AIをツールでなく、経営の骨格に据える決意表明。社員1000人の会社が100人規模のスピードで動ける、その構造変革を示した瞬間だった。

③株主還元の再検討
決算資料の一文にこうある。「自己株式取得を含む株主還元方針の再検討を進めている」。この一言で市場がざわついた。アクティビストを迎え撃つ「ディフェンスではなくオフェンス」のIR。これが、今回最大のサプライズだった。

■第2ラウンド:村上ファミリーの反撃予想
村上ファミリーが動かすのは、いつも「資本」だ。彼らの得意技は、眠った資産を掘り起こし、資本効率を高めること。髙島屋、フジ・メディアHD、三菱倉庫、どれも不動産が眠る企業だ。だが、DeNAには土地がない。倉庫もない。あるのは、AI・データ・ブランド、そして900億円の現預金。

つまり「動かすべき土地」ではなく、「動かすべき資本」が眠っている会社だ。PBRは0.9倍台。市場は「資金はあるのに評価されていない」と見ている。だからこそ村上サイドは、DeNAの次の一手、つまり還元策に焦点を合わせてくるだろう。

アクティビストの次のカードは3つ。①自社株買いの規模要求、②バランスシート圧縮提案、③配当性向の引き上げ要求。「無形資産で戦うDeNA」に対し、「資本で問う村上ファミリー」。この対立軸が、まさに2026年春の総会まで続く長期戦になるはずだ。

■第3ラウンド:株価の行方は?
今後の焦点は、「言葉」から「数字」への転換だ。AI戦略を語る南場会長と、数字で迫る村上ファミリー。互いの信念が正面からぶつかる舞台になる。もし12月中に自社株買いが発表されれば、株価は3,000円を突破し、3,200円が第一ターゲット。配当強化が絡めば3,500円トライ。逆に沈黙なら、一時的に2,400円台へ調整するが、村上側の提案書が出た瞬間、再び上昇に転じるだろう。今回の決算は、その序章にすぎない。

巳之助は「無形資産で戦うDeNA」と「資本で詰める村上ファミリー」で少し迷うけど。第1ラウンドはDeNAのサプライズ3連打が効いた。次は「還元を廻る戦い」だ。

プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。

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