
韓国の大手芸能事務所のHYBE(ハイブ)は7月24日、CEO(最高経営責任者)の朴智援(パク・ジウォン)氏が辞任すると発表した。近日中に株主総会と取締役会を開いて正式に決める。朴智援氏は2020年にBig Hit Enternainment(ビッグヒット・エンターテインメント)のCEOを務め、HYBEのCEOには2021年に就任していた。
HYBEには世界的な人気を誇るBTSやSEVENTEENらが所属しているが、今年4月に子会社のADOR(アドア)に所属する5人組ガールズグループのNewJeansの引き抜きを巡って内紛が起きていた。
HYBEは業務背任の疑いを理由に、ADORの代表でプロデューサーのミン・ヒジン氏を地元警察に刑事告訴し、代表解任を要求していたが、5月31日に開かれたADORの臨時株主総会では代表解任の議題は見送られ、ミン・ヒジン氏の代表続投が決まった。朴智援氏は、人気グループを巻き込んだ内輪揉めに対する経営責任を問われたとみられる。
韓国芸能界を揺るがした内紛騒動は沈静化したものの、HYBEは経営状態の立て直しを迫られている。HYBEが5月2日に発表した2024年1〜3月の四半期決算は、売上高は3609億1800万ウォン(前年同期比12.1%減、約397億98万円*)、営業利益は143億8400万ウォン(同72.6%減、約15億8224万円)、四半期純利益は28億7700万ウォン(同87.5%減、約3億1647万円)と減収減益で、最終利益は前年同期から約9割減少している。
後任のCEOには李宰相(イ・ジェサン)氏が就任する予定。HYBEは、傘下のレーベルから今年1月にSEVENTEENの弟分として男性グループのTWS(トゥアス)をデビューさせ、3月には女性グループのI'LL-IT(アイリット)もデビューさせ、いずれもすでに大人気だ。アイドルグループを育てる手腕は優れているものの、企業統治には課題があることが露呈したHYBE。今後、新CEOの手腕が注目される。
*1ウォン=0.11円換算(5月3日決算発表時のレート)