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「グッチ」が26%減の低迷 日本市場も29%減の衝撃 ケリング最大の岐路に新CEOはどう立ち向かうか?

NEWJul 30, 2025.高村 学Tokyo, JP
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Courtesy of Gucci

「グッチ(GUCCI)」や「サンローラン(Saint Laurent)」を始めとするラグジュアリーブランドを擁するケリンググループ(Kering Group)は7月29日、2025年12月期の上半期決算を発表した。売上高は前年同期比16%減となる75億ユーロ(約1兆2750億円*)、営業利益は同39%減となる9億6900万ユーロ(約1647億円)、四半期純利益は同46%減となる4億7400万ユーロ(約805億円)と、主要指数すべてで大幅なマイナスとなった。

地域別での売上高は、北米は前年同期比10%減、アジア太平洋地域は同19%減、日本は同29%減だった。特に日本では、円安にも関わらず訪日観光客の購買意欲が鈍化したことで、売上減に拍車がかかったとされる。

ブランド別の売上高は、「グッチ」は前年同期比で26%減となる30億2700万ユーロ(約5145億円)。2024年からの新クリエイティブディレクター就任以降の再構築途上にあり、依然として業績は回復していない。「サンローラン」は同11%減となる12億8800万ユーロ(約2189億円)、「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」は同1%増となる8億4600万ユーロ(約1438億円)だった。

ケリンググループの3大ブランド以外の「バレンシアガ(BALENCIAGA)」や「アレキサンダー マックイーン(Alexander McQueen)」などの売上高の合計は同15%減となる14億5900万ユーロ(約2480億円)だった。

ケリンググループは立て直しに向けて、本格的な経営刷新に踏み切っている。まず、ルノー・グループのCEOだったルカ・デ・メオ(Luca De Meo)が9月15日付でCEO(最高経営責任者)に就任する予定だ。自動車業界からラグジュアリー業界への異例の転身となるが、ルカ・デ・メオ新CEOは長年、国際的な上場企業グループを率いてきた統率力と、ブランドに対する鋭い洞察力が高く評価されている。「ランボルギーニ(Lamborghini)」の監査役会のメンバーや欧州自動車工業会(ACEA)の会長などにも選出され、人望も厚い。なによりも激化するグローバル競争に打ち勝ってきた手腕には、ラグジュアリー業界でも期待の声があがる。

ブランド単位でも人事が相次ぐ。ケリンググループの旗艦ブランドである「グッチ」は、2025年1月1日付けで新CEOにステファノ・カンティーノ(Stefano Cantino)が就任。さらに、サバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)に代わって、「バレンシアガ(Balenciaga)」のデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)をアーティスティック・ディレクターに起用、ブランドイメージの再定義を図る構えだ。

円安や中国の消費減退といった外的要因だけでなく、ブランド戦略の再構築という内的要因にも本格的にメスを入れる時期がきたとも言える。ケリンググループの次の一手、さらにはルカ・デ・メオ新CEOの手腕に、ラグジュアリー業界全体が注目している。

*1ユーロ=170円換算(7月30日時点)

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