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最高益、優待導入でも株価がマイナス21%と急落 メンズスタイリング剤のリップスに市場はなぜ厳しいのか

NEWOct 16, 2025.セブツー編集部Tokyo, JP
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スタイリング剤やヘアケア商品を展開するリップス(LIPPS)の株価が10月16日、ストップ安となった。前日15日の終値3,275円だった株価は、翌16日に取引が始まると前日比700円安となる2,575円まで急落。21.37%と大幅な下落率だった。

同社は15日、2025年8月期の通期決算を発表。売上高は44億900万円(前年同期比17.2%増)、営業利益は9億4900万円(同31.7%増)、当期純利益は6億5200万円(同53.9%増)と、いずれも過去最高を更新した。スタイリング剤やスキンケア製品などの商品事業が引き続き好調で、収益力の高さを示す内容だった。

さらに同日、株主優待制度の導入も発表。8月末日時点で1単元(100株)以上を保有する株主に対し、5000円分のリップス商品のオンラインギフトを付与する。株主還元策としては魅力的な内容だが、市場の反応は冷静だった。

株価下落の要因は、同時に発表された来期(2026年8月期)の業績予想にある。リップスは来期の売上高を47億4800万円(前年比7.7%増)と増収を見込む一方、営業利益は7億500万円(同25.7%減)、当期純利益は4億8900万円(同24.9%減)と、2桁の減益を予想している。最高益から一転、利益面でのブレーキが明確に示されたことで、投資家の警戒感が強まった。

減益見通しの背景には、主力の商品事業で、小売店への新規配荷が一巡し、拡販余地が一時的に落ち着く見込みで、新商品の開発サイクルも谷間期に入ることで、売上の伸び率が鈍化すると見られている。さらに、もう一つの柱であるサロンフランチャイズ事業も、加盟店舗での人材流出が影響。美容師不足や運営コスト増加を背景に、ロイヤリティ収入の減少が避けられない状況だ。両事業で収益圧迫要因が重なり、利益の減少を見込まざるを得なくなった。

とはいえ、リップスは中長期的な成長には自信を示している。同社は「2030年に売上高100億円」という中期目標を掲げ、コア事業であるスタイリング剤のブランド価値をさらに高めながら、スキンケア、メイクアップ、ヘアケアといった周辺領域を強化していく方針だ。近年はメンズコスメ市場の拡大が続いており、同社が展開する「リップスボーイ(LIPPS BOY)」も好調。2024年には渋谷に初の旗艦店をオープンし、リアルとオンラインを融合したブランド体験を強化している。

成長企業から成熟企業への転換期との見方もあるが、次のヒット商品をどのように生み出せるかが、株価回復の鍵を握りそうだ。

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