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サマンサタバサの25年と今後

May 13, 2019.久米川一郎Tokyo, JP
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業界ではサマンサと呼ばれるが、正確にはサマンサタバサジャパンリミテッド(Samantha Thavasa Japan Limited)という長ったらしい社名である。いまだにアメリカのハンドバッグメーカーだと思っている日本人が少なくない。一時はニューヨークに路面店をオープンしたこともあるし(今は退店)、その他にも海外にショップを開いているから、単に日本のハンドバッグメーカーにとどまるつもりはなかったのである。サマンサは寺田和正氏(1965年12月12日生まれ・53歳)が1994年に設立した会社だ。今年まさに25周年を迎えた。サマンサの前身は輸入販売のマックナブトレーディングという会社だ。スッチー(今風に言うとキャビンアテンダント)と仲良くなって、売れそうな商品を教えてもらったり、売れそうな物をプレゼントして口コミで広めてもらったりということをやっていた。しかしそれではビジネスに限界があるということで、オリジナルブランド「サマンサタバサ(Samantha Thavasa)」を発売してからまさにツキが転がり込んで来た。ヒルトン姉妹、ビヨンセ、ペネロペ・クルス、ヴィクトリア・ベッカム、マリア・シャラポワ、イ・ビョンホンなどの海外セレブ、そしてエビちゃん(蛯原友里)ブームを筆頭にした『CanCam』を始めとした赤文字旋風。まさに90年代のファッション業界の寵児だった。「セレブ」という言葉はサマンサが日本に定着させた。2005年12月13日には東証マザーズに上場。上場初年は90万円、その後なんと株価は238万円(2005年12月29日)をつけた。この238万円というのは、その後株式分割をしているのでそれで調整すれば、5500円ほどになるが、現在の株価は283円(4月17日終値)。この上場あたりが、サマンサの絶頂期だったのかもしれない。その後はアパレル事業に乗り出し(2007年)、スタイライフ買収でいち早くEコマースもスタートしたが(2007年)、さらに2008年にはセレクトショップ事業として「エイトミリオン(EIGHT MILLION)」もスタート。とにかく全方位に打って出たが、どうにもこうにもうまくいかない。その低迷は20分の1になった株価が端的に示していると言えるだろう。まだ手遅れではない。1840名(2018年2月末)の社員を擁する年商277億円企業である。もはや創業者のオーラや直観で難局を打開するのは難しいという判断が寺田社長にあったのだろう。所有株式62.59%の半分をコナカの湖中謙介・社長に譲り、渡邊貴美女史をCOO(取締役上席執行役員)に迎えて25周年の今、サマンサタバサジャパンリミテッドは新体制で第2の成長期を目指す。

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