
化粧品大手の資生堂は8月6日、2025年12月期の中間決算を発表した。売上高は4698億3100万円と前年同期比で7.6%減少したものの、営業利益は180億8400万円となり、前年の27億2800万円の赤字から黒字へと大きく転じた。親会社の所有者に帰属する中間利益も95億3500万円と、前年の1500万円から636倍となる大幅な黒字転換を達成した。
売上面では、主力市場の中国や免税(トラベルリテール)部門の減速、「ドランク エレファント(Drunk Elephant)」の売上減が重なり、マイナス成長となった。ただし、利益面では構造改革の進展が大きく寄与。資生堂は現在、固定費の圧縮やサプライチェーンの見直し、原価管理の徹底といった構造改革を進めており、今期は売上原価を168億円、販管費を245億円それぞれ削減。全社的なコストマネジメントが実を結び、収益体質の改善が進んでいる。
地域別では、日本国内の売上高は1459億円で前年同期比0.4%減にとどまった一方、コア営業利益は195億円(同207.5%増)と大幅に改善。内需は引き続き緩やかな成長を維持している。一方、注目すべきはインバウンド需要の急減速だ。特に5月以降、百貨店を中心に訪日外国人による化粧品購入が大きく減少しており、今後の国内市場に対する影響が懸念される。
中国・トラベルリテールでは、厳しい市況が続いており、売上高は前年同期比10.0%減の1739億円、コア営業利益も同15.6%減の388億円と減収減益となった。コロナ禍明け以降も中国人旅行者の消費は回復が鈍いままでいる。
資生堂の2025年12月期の連結業績予想は、売上高は9950億円(前年比0.4%増)、営業利益は135億円(同78.2%増)、親会社に帰属する当期利益は60億円(前年は108億1300万円の赤字)を見込む。販売面での不安はあるものの、利益構造の転換によって、収益性のある企業体質を構築しつつある。