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赤字転落の三陽商会が眠らせたままにする「40億円の利益」を生み出す横軸【いづも巳之助の一株コラム】

NEWOct 7, 2025.いづも巳之助Tokyo, JP
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撮影:セブツー

三陽商会の2026年2月期の第2四半期決算は、売上高270億円(前年同期比▲3.1%)、営業損失2億円、最終損失3億円と赤字に転落した。粗利率は前年から2.3ポイント低下。理由はセールによる値引きとプロパー比率の低下だ。販管費を3億円削減したが、全体の構造にはまだ手が入っていない。

決算短信に記された「販売費及び一般管理費の管理強化」「新店への投資等による一過性費用を包含したうえで前年から3億円削減」という言葉。これはトップダウンのコストコントロールであり、仕組みを変える改革ではない。巳之助には、節約の努力の奥に「変わらない構造」がハッキリ見えた。

◾️中計を見ても、巳之助に見えた事
2025年4月に発表された中期経営計画を読み返してみよう。軸は次の5つだ。
①オーガニックグロース(既存7ブランド)
②ブランド領域拡大(子ども服・ユニフォームなど)
③新ブランド開発(BIANCAなど)
④海外展開(SANYOCOAT)
⑤M&A(EC・コスメ領域)

どれも「事業の横展開」にはなっているが、「仕組みの再設計」がないんだな。つまり、工場・物流・在庫・情報といった「バックエンドの共通インフラ」をどう立て直すのか、そのビジョンがまったく書かれていない。巳之助は、そこにこそ「三陽にまだ眠る40億円」があると見ている。

◾️巳之助の仮説は「横串の司令塔」がない!
三陽商会の中計はどうやら「売上重視・構造軽視」モデルだ。現状は、ニュウマン高輪3ブランド出店などブランド×販路への投資が先行しているが、その裏で共通インフラは旧態依然。経営がそこに人も資金も割けていない。結果、新店を出すたびに固定費が膨らみ、営業利益率は戻らない。

これは経営がまだ「ブランド単位で業績を押し上げる」発想から抜け出せていない証拠だ。だが、もし全社横断の司令塔──つまり、倉庫から店頭まで、一本の道をつなぐように管理する部署──があれば、利益は劇的に変わる。

この「道」を整えるだけで、利益+40億円だ。

物流費率を業界平均(6%)まで下げるだけで+20億円。
在庫回転を200日→150日に短縮すれば+13億円。
情報・システム統合による業務効率化で+10億円。
合計でおよそ40億円の改善だよ。

いまの三陽商会は、外に新しい服を増やすより、内側の仕組みを整える方が利益を生むと確信するよ。

◾️それでも「横串」の言葉が出てこない
中計にも、今回の決算短信にも「倉庫から店頭までを一気通貫につなぐ」「共通基盤」「ロジスティクス改革」といった文言は一行もない。経営はまだ「現場の努力で売上を作る」段階にあり、仕組みを通して利益を積み上げる段階には来ていない。ここを経営課題として明文化し、横断機能を設置できるかが、今後の分岐点だ。社長直轄組織でもいい。バッチリやってほしいんだ。

◾️理論株価はずっと上なんだけどな
PBR0.7倍、PER10倍割れ。現金預金190億円を抱える健全財務。理論株価は実力ベースで4,000円台に達する。だがこれは「倉庫から店頭までを一気通貫につなぐ」ことが実現すれば、という前提つきだが。

▷巳之助メーター 2ニョロ 監視だ。
(1ニョロ=素通り 2ニョロ=監視 3ニョロ=今だ!)
買いレンジは、3,200円前後
利確目安は、4,000円台
構造改革前の助走期だね。中計に「仕組みの再設計」が出るまでは静観だ

巳之助は「服より仕組み」で少し迷うけど。

プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。

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