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昨年のストライプインターに続くアルペン会長のハレンチ事件

Feb 12, 2021.久米川一郎Tokyo, JP
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アルペンが展開する「ティゴラ(TIGORA)」

いやはや、開いた口が塞がらない。東京証券取引所第一部上場企業で、スポーツ用品小売業アルペンの創業者で現在代表取締役会長の水野泰三(72歳)容疑者が2月10日に強制わいせつ致傷および窃盗で愛知県警に逮捕された。その事件が起きたのは遡ること3カ月前の昨年11月29日。名古屋市内のホテルの一室で水野容疑者が会員制マッチングアプリで知り合った女性(42歳)を馬乗りになって背後から首を絞める暴行とわいせつ行為で全治3週間のケガを負わせ、女性から現金10万円と運転免許証を盗んだ容疑である。捜査関係者によるとその女性とは初対面だったとみられ、「暴力やわいせつなことはしていない」と水野容疑者は容疑を否定しているという。水野容疑者は女性に身分を明かしておらず、ホテルの防犯カメラから警察が3カ月後に人物を特定したという。不可解なのは、女性から10万円を奪ったことだが、水野容疑者が女性に渡した10万円を取り戻そうとしたのではないかと推測される。売春行為をめぐる客側の不満による犯行と考えれば納得がいく。しかし、そんなマッチングアプリに頼らなくとも、水野容疑者はもっと楽しく女性と遊べたのではないだろうか。なにせアルペン株だけでも700万株以上を保有しその時価は140億円である。大金持ちが名古屋のホテル(おそらくいわゆるラブホテルだと推測される)で見知らぬ女性と恥ずべき行為に及ぶこともないと思う。それとも殺されたのかどうかわからぬままウヤムヤになった「紀州のドンファン」こと和歌山県田辺市の金融・不動産関連会社社長の野崎幸助氏(享年77、2018年5月死去)にならって、「尾州(びしゅう)のドンファン」を地で行ったのか。

東スポWEBによると、水野容疑者は地元名古屋では知らぬ者がいない超有名人だったという。「アクティブな人でさまざまなスポーツを趣味にして、さらにヘリコプターやジェット機を所有するなど、とにかく派手なことが好き。自社CMに起用した俳優の加藤晴彦のことを我が子のように可愛がり、一緒に豪遊していたのは誰もが知っている話。当時は水野容疑者の意向で加藤が出演する番組のスポンサーをすることが多かった」とテレビ関係者が語っている。

しかし、自家用ジェットで人気若手俳優と豪快に遊ぶ水野氏とマッチングアプリで42歳女性と名古屋のホテルで薄暗いセックスに興じる水野容疑者の落差がどうしても理解できない。

アルペンは、水野容疑者が弁護士を通じて「職責を果たせないので会長職を辞任したい」と申し入れが2月12日にあり、同日開かれた臨時取締役会で承認されたという。同社の株価は2月10日の終値2354円から2.38%下落した2298円で終了した。さすがに創業会長の辞任で株価は下げたが、スポーツを手掛ける同社にとってはイメージダウンも甚だしく、この程度の下げで終わるのなら恩の字だ。

2月4日に発表されたばかりのアルペンの2021年6月期第2四半期決算(2020年7月1日~2020年12月31日)の決算は、売上高1205億3900万円(前年比5.0%増)、営業利益110億9200万円(同237.3%増)、経常利益120億2400万円(同193.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益78億2900万円(同229.7%増)と絶好調。スキーなどのウィンタースポーツは相変わらず今ひとつだが、キャンプなどのアウトドア関連やゴルフ人気を反映してコロナ禍であるにも拘わらず、通期でも増収増益を予想している。そうした好調ぶりに水野会長に心のスキがあったということなのだろうか。すでに2016年には38歳の長男水野敦之氏に社長職を譲っている。いずれにしても、ファッション、アパレル、スポーツなどのライフスタイル関連分野は企業イメージがきわめて重要だ。特に経営トップの不祥事は致命傷になる。昨年のストライプインターナショナルの石川康晴元社長の社内セクハラは記憶に新しいが、今回のアルペン会長の事件も他山の石としてしっかり心に刻んでほしいものだ。

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