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Global|ラグジュアリー・ブランドが2つに分かれる!?

Mar 13, 2019.橋本雅彦Tokyo, JP
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「グッチ」2019年春夏コレクション広告キャンペーンより

ラグジュアリー(luxury)という言葉が一般的になったのはそう昔ではない。「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」が1997年にマーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)をアーティスティック・ディレクターに選んでパリコレに参加、高級ラゲージ・ブランドからトータル・ライフスタイル・ブランドに華麗なる転身をし、これをラグジュアリー・ブランドと称したあたりのことであろう。つまり歴史(ヒストリー)と伝統(トラディション)と伝説(レジェンド)を持っていて、パリやミラノの年2回のコレクションシーズンに大規模なランウェイショーをやっているブランドをラグジュアリー・ブランドと言うようになった。

しかし、最近これにストリート感覚を注入して若者に圧倒的な支持を得るブランドが登場している。ストリート感覚とは、LGBTを容認して多様性(ダイバーシティ)のあるデザインを提案したり、黒人文化やラップ文化に理解を示して積極的にデザインに採用していることである。代表的なストリート・ラグジュアリーということになると、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)による「グッチ(Gucci)」を挙げなければならないだろう。また、デムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)を起用して一気にスターダムにのし上がった「バレンシアガ(Balenciaga)」も挙げなければならないだろう。

こうして見てみると、ラグジュアリー・ブランドは2つのグループに分裂し始めているのではないかという気がしてくる。もはや「ストリートの流れはいつ終わるのか?」という質問は愚問に思えてくる。

やはり、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)の「ルイ・ヴィトン」メンズのアーティスティック・ディレクター就任が決定的な分岐点になっているような気がする。

そしてタイムレスでコンサーヴァティブなラグジュアリーの代表が「エルメス(Hermes)」であり、最近その第2の創業デザイナーとでもいうべきカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)を失った「シャネル(Chanel)」を加えてその双璧ということができるかもしれない。そしてアンソニー・バカレロ(Anthony Vaccarello)をデザイナーにおく「サンローラン(Saint Laurent)」もこちらのコンサーヴァティブ・ラグジュアリー寄りと言える。ストリート感覚が溢れたマインドを持つエディ・スリマン(Hedi Slimane)をアーティスティック・ディレクターに迎えた「セリーヌ(Celine)」はやはりストリート・ラグジュアリー寄りのブランドであろう。

今まで一枚岩と見られていたラグジュアリー・ブランドは、一気に分裂して2グループに分かれ始めているようだ。ストリート感覚注入でストリート・ラグジュアリーとして若い層の支持を重視していくのか、コンサーヴァティブ・ラグジュアリーとして保守的な支持を堅持していくのか。どちらに未来があるのかを試される時が来たようだ。

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