
オンワードホールディングス(以下、オンワードHD)は10月2日、2026年2月期の中間期決算を発表した。売上高は1126億3600万円(前年同期比18.4%増)、営業利益は57億3600万円(同9.1%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は48億2200万円(同17.4%増)と、増収増益を達成した。特に国内ブランドの好調が業績を牽引している。
国内事業の柱となるのは、中核事業会社のオンワード樫山が全国的に導入している「クリック&トライ」サービスだ。これは、オンワード樫山の公式オンラインストア「オンワードクローゼット(ONWARD CROSSET)」に掲載されている商品を店頭に取り寄せ、試着できる仕組みで、顧客の利便性を高めるとともに購買意欲を刺激している。利用者の拡大に伴い売上高は順調に伸び、オンワードHDの増収に大きく貢献した。
ブランド別では、「アンフィーロ(UNFILO)」が前年同期比46.8%増と大幅な増収を記録、「カシヤマ(KASHIYAMA)」も新たに開発したコンフォートスーツが好評で、売上高は同27.2%増と2桁成長を維持、「チャコット・コスメティクス(CHACOTT COSMETICS)」も34.8%増と堅調に推移した。また、2024年10月に連結対象となった「ウィゴー(WEGO)」は、164億円の売上高を計上し、好業績を牽引する存在となった。国内のブランド戦略が確実に成果を上げていることがうかがえる。
一方、海外事業では、成長戦略の中核となる米国での「J.プレス(J.PRESS)」事業に注目が集まる。現状は売上高14億8,000万円と規模は小さいが、店舗数を現行の3店舗から20店舗に拡大し、新コレクションを順次投入する計画だ。2030年度には売上150億円を目標とし、現地市場でのプレゼンス拡大を狙う。また、ニューヨーク発ブランド「ローイングブレザーズ(Rowing Blazers)」の創設者であるジャック・カールソン(38)をクリエイティブディレクター兼プレジデントに迎え、ブランド価値の向上と現地での事業拡大に拍車をかける方針だ。
オンワードHDは今後も、国内基盤の強化と海外市場での成長の二軸を軸に事業を展開する方針だ。2026年2月期通期の業績予想は、売上高2300億円(前年比10.4%増)、営業利益115億円(同13.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益100億円(同17.4%増)と見込む。国内ブランドの強みを最大限に活かしながら、米国での「J.プレス」拡大や新規ブランドの展開を通じ、2030年度に向けた売上拡大を狙う。今後も、国内外の事業シナジーとOMO戦略の進化が、オンワードHDの中長期的な成長を支えることになりそうだ。