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Japan|株式市場の不可解な回復の早さの理由とは?

May 1, 2020.久米川一郎Tokyo, JP
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5月の連休(5月2日〜6日)を前にして、ニューヨーク(NY)ダウ平均、日経平均株価ともに順調に回復しつつある。NYダウは2020年3月23日の1万8591ドル(以下全て終値ベース。小数以下切り捨て)を底にして、4月17日には早くも2万4242ドルまで25日間で実に30.3%の上昇を見せている。4月30日の終値は2万4375円。日経平均はそこまで急激な回復ではないが、それでも3月19日の1万6552円を底にして、4月30日は2万193円と2万の大台を回復、42日間で実に22.0%の上昇である。

NYダウでは2万5000ドル、日経平均では2万円がそれぞれ大きな節目と言えそうだ。特に新型コロナウイルス治療薬「レムデシビル」の治験で前向きなデータが得られたと米国製薬会社ギリアド・サイエンシズが4月29日に発表したことが大きなインパクトになっているが、米国の景気の先行きに対する不安(雇用統計や消費関連経済指標の悪化)も相変わらずで、交錯した売り買いになっている。日本の日経平均はこのNYダウに追随した動きになっている。5月6日に終了する予定だった緊急事態宣言が1ヵ月延長されることは確実で、その経済的なダメージは中小企業にとっては手元資金ゼロのレベル到達を意味する。人命尊重第一は当たり前だが、それと経済的ダメージとはトレードオフ(何かを得ると別の何かを失うこと)の関係にあるわけで、そろそろ政府はそのバランスを考える時期に差しかかっていると言えるだろう。

さて、株価のリカバリーの早いのにはいささか面喰っている。「第二次世界大戦以降最大の危機」とか「1929年の世界大恐慌以来の経済危機」と各国の首脳が語っているわりには、この株価下落幅とリカバリーの早さは実に意外である。本来こんなレベルで済むわけがないと考えていたのであるが。考えられるのはFRB(米国連邦準備制度)や日銀による買い支えが異常なレベルであるということではないのだろうか。そういうことであればその買い支えがなくなったときに、本当の意味での下落が始まるのではないだろうか。いずれにしてもいわゆる二番底がやってくることは避けられないのではないか。記憶に新しい熊本地震のように今の状態が前震であって、それよりも凄まじい本震がやってこないことを祈りたいのではあるが。

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