
ワールドの2026年中間期決算は、ブランド事業は利益が16%も落ちたのに売上収益1369億円(+24.3%)、純利益56億円(+20.8%)を確保した。
数字だけ見ると「どこで稼いだ?」と思うが、答えは裏側の事業だ。プラットフォーム事業とM&A企業が稼ぎ頭に育ち、構造はすでに変わり始めている。今回のライトオン完全子会社化は、その再生力が本物かを測る現実的な試金石になる。
既存店売上は前年比−1.8%、粗利率は約10ポイント低下、営業利益42億円。店舗の運転精度が弱まっている。ただ、原因は明確だ。商品の回転速度や在庫判断のズレはプロセス調整で戻しやすい。ワールドは裏側の仕組み改善に強く、取り返しの利く領域だ。
プラットフォーム事業は営業利益23億円で前年の約3倍。物流、生産、リペア、販売代行などアパレル以外の「仕組み部分」が全体を押し上げている。ここは安定収益で伸ばせる領域で、M&A企業の積み上げも効いている。ワールドは表より裏の事業で稼ぐ会社になりつつある。
なぜワールドは再生が得意になったのか?ライトオンの数字が象徴的だ。2024年8月期に営業損失50億円だったが、ワールドが入って1年で4.5億円まで縮小した。再生工程を手順化しているためだ。在庫換金、MD修正、仕入れ条件、IT、不採算店判断、人員配置。工程として共有され、他のアパレルには見られない強みだ。
ライトオン完全子会社化の意味は、意思決定を一本化し、店舗、在庫、MD、仕入れをワールド式に揃えるための一手だ。ライトオンは売上281億円、店舗350店。再生案件として規模が大きく、黒字化すればワールドの評価はさらに引き上がる。
では本業アパレルはどうするのか結論として、アパレルを無理に広げない。中計は在庫回転、利益率、不採算整理を重点にし、成長は裏側で取る方針だ。株価が上がった今こそ、この構造転換の本気度を見極めたい。
現在株価は2,958円(11月21日)。明らかに再生期待を先取りしており、強気で追いかける局面ではない。巳之助の購買レンジは2,600〜2,750円だな。ワールドは良い会社だが、高値を追うとブレやすい銘柄だ。ライトオンの黒字化が数字で見え始めた瞬間に、再評価の第二ラウンドが始まる。
プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。
















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