岐阜市に本社を置く婦人フォーマルウェアメーカーのラブリークイーンが倒産した。現在の社名はISOになっている。そもそもはラブリークイーン(株)だったが、脱毛サロン「ミュゼプラチナム」などで知られる美容関連企業RVH(東証二部上場)に2017年に買収され、その後(株)ラブリークイーンになって事業を継承し、さらに2019年1月16日にISOに商業変更するとともに株主総会で解散し、同年8月7日に岐阜地裁から特別清算開始決定(負債総額45億円)を受けていた。しかしその後さらに状況が悪化して、RVHは6月30日付で(株)ラブリークイーンの全株を衣料品卸売業者Jrout(本社大阪市)に譲渡し、今回6月16日付で東京地裁に破産手続きの開始決定を受け倒産したことが判明した。
RVHの買収があって二転三転したが、1964年にラブリークイーンは岐阜市で設立され、ピーク時(1980年代)には年商176億円を計上し、東京ソワール、カインドウェアと並ぶ3大フォーマルメーカーにも数えられていたこともある(岐阜市のイギンを入れて4大フォーマルメーカーとする数え方もある)。ラブリークイーンの場合、主力販路だったGMS(総合スーパー)向けの売り上げが縮小した影響が大きく、近年は赤字決算がほとんどだったようだ。2019年1月の会社概要によれば、販路はGMS90%、専門店6%、その他4%になっている。社員数は766名と書かれている。2017年の年商は59億円だった。社屋も新築されたばかりなのか、やる気が感じられているのが、今から振り返ると空しい。
「大きくは儲からないが、確実な需要があるので堅いビジネス」と言われていたフォーマルウェアの業界だが、ライフスタイルの変化で激減に近い市場の大収縮が起きている。
こうなると残りの東京ソワール(東証二部上場)、カインドウェア、イギンといった残りの3強についても、1社が倒産したのだから、しばらくは安泰ということは全くなく、予断を許さない。新型コロナウイルスで間違いなく今期は赤字であろうから、次期までにどれだけ経営の構造改革を進められ、企業体力アップがなされているかがポイントになる。レナウン(民事再生法適用)、ラブリークイーンというかつての名門が倒れたが、まだまだこうした悲劇は続きそうだ。