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そごう・西武の今後はほぼこうなります!

Aug 29, 2023.三浦彰Tokyo,JP
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組合員の圧倒的多数(93.9%)でスト権を7月に確立したそごう・西武の労働組合は、8月28日にアメリカ投資ファンド(フォートレス・インベストメント・グループ)と家電量販店大手のヨドバシ・ホールディングスの連合への売却を巡り、西武池袋本店でのストライキを8月31日から実施すると親会社のセブン&アイ・ホールディングスに通知した。

経営者側は9月1日の早期の株式売却が店を立て直す近道としているが、雇用維持のための労組側は納得のいく回答が得られなかったとして、寺田泰博そごう・西武労働組合委員長は「残りの数日間の中で、可能な限り回避できるように労使協議をしたい」としている。9月1日の株式売却を強引に進めようとしている経営者側が売却を中止して協議を続けるならばストは回避することになる。西武池袋本店には700人の社員がいるというが、そもそも百貨店の販売員だけの店なんてほとんどないはずで、ブランド側がスト中も営業したいと言えば認めざるを得ないのではないかとも思う。

今後の見通しだが、8月31日(木)のストは実施、9月1日の株式売却も強行ということになるのではないか。

現在、池袋西武本店は正月休みすらない定休日なしの完全無休で営業を行なっているが、経営者側は「8月31日の休みは定休日と考えればいい」ぐらいの考えなのではないか。「雇用の問題とかは、新しい株主のフォートレスさんおよびそれと連携されるヨドバシカメラさんと協議してください。それにヨドバシさんは西武池袋本店1階には出店しないことを表明しているのだから、西武池袋本店は大規模改装になるのではないか。雇用のチャンスは広がるのではないですか」というのが経営者側の言い訳だろう。

「ストになったら、お客様にはご迷惑をかけます」と労使ともども言っている。しかしその日じゃなくちゃ困るなんていう買い物はほぼコンビニで済むご時世だ。気の利いた食料品も隣の東武百貨店でほぼ用が足りる。百貨店しか売っていなくてその日じゃなくちゃ困るなんていうのは、お葬式の礼服ぐらいではないのだろうか。昔は百貨店の入り口に開店前から並んでいる人がかなりいて、そのうち大半はこの「葬式客」だった。それも、今では青山・アオキがすぐ近くにあるわけだし、西武池袋本店がストライキ休業しても困る人なんかほとんどいない。それが、現在の百貨店のおかれているポジションというものなのだ。

なぜそごう・西武が売却されるのか、それは赤字続きで利益が出ないからだ。売却してその金をもっと儲かるコンビニ事業に投下しようという親会社セブン&アイ・ホールディングスの考えももっともな話である。また円安だからこれに投資して高く転売したり貸したりしようというフォートレスも当然の動きだ。結局こうした資本の当然の動きの犠牲になるのは、そごう・西武の従業員たちといういつもの構図である。

「立て!万国の労働者」と赤旗を振る時代でもあるまいが、結局フォートレス&ヨドバシに人間らしい心があることを祈るばかりなのではないのか。

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