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書店で手にして驚いた「VOGUE JAPAN」と「家庭画報」

Jun 19, 2022.三浦彰Tokyo, JP
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PHOTO:SEVENTIE TWO

書店の閉店ラッシュがドミノ倒しのように相変わらず続いている。文化の橋頭堡が無くなってしまうと嘆く私も本屋に行く機会はメッキリ減っている。最近、時間があってちょっと書店に立ち寄る機会があった。そこでちょっと驚いたことがある。「VOGUE JAPAN」(7月号、5月28日発売、コンデナスト・ジャパン、880円)を久方ぶりに手に取ってみたのだが、なんという薄さ!200ページほどのページ数で厚さは1cmにも満たないほど。一応表紙回りには観音広告が入っているし、そこそこの広告料ではあるのだろう。しかし、「これで頭部を思いっきり叩いたら、死に至らしめるようなこともあるので取り扱いには十分気をつけて下さい」と冗談交じりに語られていた電話帳のような分厚さを誇っていたかつての「VOGUE NIPPON」時代の面影はまるでない。

分厚さでは、「VOGUE JAPAN」と双璧だった「家庭画報」(7月号、6月1日発売、世界文化社、1,222円)を手にしてみたが、通常版ではなくプレミアムライト版ではあるが、これも1cmあるかないか。

出版業界の知人にこのことを話したら、「何を今さらそんなことを言っているのか。もうかなり前からそんな薄さになっているよ。さらにメンズ雑誌だと付録みたいな薄さだよ」とのことである。しかしショックだということに変わりはない。

それに両誌とも、私にとっては表紙がまたまたショッキングだった。「VOGUE JAPAN」は、宇多田ヒカルがこのムシ暑い陽気だというのに、「サカイ(sacai)」の赤いコートを着て登場。こんな季節感で良かったのだっけ?さらに「サカイ」と「カルティエ(Cartier)」がコラボした「TRINITY FOR CHITOSE of sacai」のイヤリングが着用されているのが目を引く。特集は「SOUND VISION(最新モード×サウンドでクールを纏って)」。「VOGUE JAPAN」の読者ってこんなに若かったっけ。そう言えば、渡辺三津子前編集長が昨年12月に退任して、編集長というポストはなくなり、新たなポストとしてヘッド・オブ・エディトリアル・コンテント(HOEC)が設けられ、そのポストにティファニー ・ゴドイが1月から就任している。そろそろティファニー HOECの色が出始める頃だが、「これって、コンデナスト本社のチェックが入っているのか?」と思えるほどの「VOGUE」っぽくない表紙に思えるのは私だけだろうか。しかし部数は伸びているようなのだ。「VOGUE JAPAN」はABC(日本雑誌協会)には加入していないためGaaaOnという雑誌部数推定会社のデータによると2021年1月〜3月比で2022年1月〜3月は4万4333部から5万部に伸長しているのだという。このままで行って欲しいものだが。

一方の「家庭画報」はかなりアグレッシブに「夏を楽しむ アウトドアで大人遊び」の特集。付録はなんと2022年後半の運勢を占う「タロットと占星術」!!。人生を読み解く西洋の知恵と神秘。こんなに占いに凝ってたっけこの雑誌。千葉由紀子編集長は、2018年10月1日に秋山和輝・前編集長(現社長)に代わって編集長に就任していた。もう3年8カ月になるが、プレミアムライト版は表紙も横書きになったり、通常版の白地をメインにした和風のイメージとはかなり変わっている。こちらも厚さこそ薄くはなっているが、従来のタイプの表紙の通常版とプレミアムライト版の両方を制作するなど、それなりに試行錯誤が繰り返されているようではある。2000年前後には20万部を軽々と超える雑誌として君臨していたが、最近は10万部も割り込んでしまっている。シニア・ゾーンでは、40万部を超える定期購読誌「ハルメク」(ハルメク社)という化け物雑誌が登場していることもあってなかなか厳しい状況が続いているようだ。

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