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LINEヤフーの「3段ピラミッド」構造とは ソフトバンク・ヤフー・LINEの主導権争いを読む【いづも巳之助の一株コラム】

NEWNov 6, 2025.いづも巳之助Tokyo, JP
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LINEヤフーを動かしているのは誰か?「頂点」にはソフトバンク、「胴体」にヤフー、「心臓」にはLINE。この3社は資本・経営・サービスの3層で支え合う「3段ピラミッド構造」をつくっている。だが、頂点の重みと心臓のリズムは必ずしも同じではない。将来、このピラミッドは完璧にシンクロできるのか?

■3段ピラミッドの現状
2025年3月期第2四半期、LINEヤフーの売上収益は9953億円(+7.6%)、営業利益2145億円(+24.2%)。PayPayを連結した金融・決済事業がけん引し、調整後EBITDAは1254億円(+11.3%)と過去最高圏だ。

一方、メディア事業は売上1798億円(−0.3%)。検索広告の鈍化が足かせになっている。利益を生む胴体(ヤフー)は堅実だが、動力源の心臓(LINE)はまだ成長途中だ。

■頂点=ソフトバンクの主導権
資本構造の頂点にいるのはソフトバンクだ。Aホールディングス(AHD)がLINEヤフーの株式を64.5%保有し、AHDの出資はソフトバンクとNAVERが50:50。ただし実質支配権はソフトバンク側にあり、財務方針やAI投資などの最終判断は頂点で下される。通信インフラとAI開発の双方を押さえ、さらにPayPayを通じて国内決済市場にも深く関与する。国内で資金とデータを同時に握る企業は他にない。

■胴体=ヤフーの経営統制
経営の中心に位置するのがヤフーだ。広告、検索、ニュース、ショッピングといった収益源の多くはヤフー由来で、内部統制やIR文書などもヤフーの仕組みを継承している。財務と秩序を守る「胴体」として、LINEヤフー全体の安定を支えている。

■心臓=LINEの現場主導
ユーザーと直接つながり、日々のサービスを動かしているのはLINEだ。トーク、ニュース、ミニアプリ、スタンプ、自治体連携などの開発現場はほぼLINEチーム主導。AIエージェント開発やホームタブ刷新など、生活者の体験を変える取り組みはここから始まる。顧客の「気持ちを動かす」権限を持つのは、この心臓部分である。

■3社のシンクロは可能か?
現状のピラミッドは、理想的に見えるがまだいびつだ。頂点のソフトバンクは「AI×通信」で未来を描き、
胴体のヤフーは「財務と秩序」で全体を管理し、心臓のLINEは「UXと速度」で生活者をつかむ。理論上は三位一体だが、実際には目的と時間軸がずれている。AI投資を急ぐ「ソフトバンク」と、慎重に管理する「ヤフー」、スピードで走る「LINE」。そのリズムを合わせられるかが、今後5年の焦点だな。

■AIがもたらす「同期化」の鍵
2025年度から、LINEヤフーはAIを全サービスに実装する「AIエージェント構想」を進めている。「AIホームタブ」は、検索から購買までをLINEのトーク画面で完結させる「会話型エージェント」だ。これまでの検索が「入力フォーム」だったのに対し、これからは会話のように検索できる。ユーザーが話しかければ、AIが答えを返し、動画や商品情報まで同じ画面で展開する。つまり、ヤフーの検索とLINEのトークがひとつの画面でシンクロするということだ。来年には実装が始まる見込みで、生活の中で使える「便利なツール」に進化しそうだ。体験できる日が待ち遠しいね。

■投資判断/シグナル
株価は443円(11月4日終値、−2.01%)。PER約17倍、PBR0.9倍。利益率は高水準を維持しているが、広告の底打ちとAI実装スピードがカギを握る。巳之助の購買レンジは420〜440円。巳之助は「堅牢な3社ピラミッド」と「3社それぞれの独走」で少し迷うけど?

プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。

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